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2021.9.20[MON]

【マッチレポート】「静岡ブルーレヴズ オープニングマッチ」豊田自動織機シャトルズ愛知戦 

【マッチレポート】「静岡ブルーレヴズ オープニングマッチ」豊田自動織機シャトルズ愛知戦 

ジャパンラグビーリーグワン初代優勝を目指し、チームとして初めて迎えた試合は9月19日。偶然にも2年前にラグビーワールドカップ日本大会が開幕した日だ。

会場となったエコパスタジアムはその9日後の28日、日本代表がアイルランド代表を破り、「シズオカ・ショック」として世界にニュースを発信したスタジアム。緊急事態宣言の延長で無観客ではあったが、記念すべき日と場所でブルーレヴズの航海が始まった。

 

相手は愛知県をホストエリアとし、ディビジョン3に所属する豊田自動織機シャトルズ愛知(以下織機)。昨シーズンのトップチャレンジ優勝チームだ。

 

この日のメンバー構成は若手に経験を積ませる意図もあり、先発全員が20代。FW8人の平均年齢も25.1歳と若く、今年の4月に加入したNO8 庄司拓馬がゲームキャプテンに抜擢された。同じく4月入社のFB 奥村翔は、偉大な先輩・五郎丸歩CROの背負った15番を着て先発。PR 郭玟慶、HO 山下憲太らのルーキーもリザーブに名を連ねた。

SO サム・グリーンのキックオフで試合開始。相手の蹴り返したボールをWTB 吉良友嘉がキャッチしてゲイン。連続攻撃でグラウンドの幅を使い、相手ゴール前に迫る。スローフォワードでトライにはならなかったが、今季の目指すスタイルを見せた立ち上がりだった。

その後は一進一退。自陣ゴールを背負ったディフェンスの時間帯もあったが、しぶとい守りでピンチをしのぐ。シーズン初戦とあって両チームともにミスが出て、互いに流れをつかめないもどかしい時間帯が続く。

最初のトライは織機。前半31分に中央付近のスクラムから展開し、右隅に先制トライ。0-5とリードを許す。

「ゲインラインの攻防で相手が上回った」と堀川監督は振り返る。

ブルーレヴズ反撃の機会もあったが、接点で相手の前に出る激しさに反則をとられて、プレーが繋がらない。

前半は0-10で折り返す。チーム最初のトライが生まれたのは、後半10分だった。中央付近のラインアウトからモールを組むと見せかけ、相手ディフェンスが寄ってできたギャップにWTB マロ・ツイタマが走り込む。FL廣川翔也からパスを受け取るとそのまま俊足を飛ばし、ゴールラインまで駆け抜ける。トップリーグ トライ王の実力を披露したプレーだった。

5-17として追撃のスイッチが入ったブルーレヴズ。後半に交代で入ったSO 清原祥、WTB 矢富洋則らが相手ディフェンスを突破してチャンスを作るが、相手のしぶといディフェンスにボールを繋げない。その後、織機が2トライを追加して5-29。

最後まで攻め続けたブルーレヴズは82分、中央付近のマイボールのスクラムからHO 高部大志が抜けたが、ターンオーバーされ、試合終了となった。

「厳しい船出となった」とは試合後の堀川監督。それでも「新しいことにチャレンジする意欲は見られた」とポジティブに振り返る。

現在、チームは10年間続けてきたアタックにおける「ヤマハスタイル」を脱皮し、これまでよりもゲインラインに近いところでボールを動かすスタイルに転換中だ。2015年度には日本選手権制覇を果たしたが、今のチームの個性に合うスタイルへと有賀剛アシスタントコーチを迎えて、改革に取り組んでいる。

大久保直弥ヘッドコーチも「今はスピード、パス(練習)にフォーカスして追い込んでいる時期。物足りない部分もあったが、疲れがあったかも」と振り返った。

ヤマハ時代からセットプレーには強いこだわりを持つブルーレヴズ。スタイルの変更はセットプレーの強さをより活かすためでもある。今は産みの苦しみかもしれない。

ルーキーながらゲームキャプテンを務めた庄司拓馬は「ゲームマネジメント、チームマネジメント、不甲斐ない部分がたくさんあった」と唇をかんだが、冷静にこれからのチームと自分にフォーカスし、既に前を向いている。

来年1月に始まるリーグワンに向け、若手メンバーが、チーム最初の試合というプレッシャーのかかる状況を経験できたのは大きな収穫だ。

堀川監督は、若きゲームキャプテンに「庄司の言葉やプレーは周りに大きな影響がある。我々も彼の成長を全力でサポートしていきたい」と絶大なる期待と信頼を寄せた。

チームエンブレムには富士山が描かれている。

大久保ヘッドコーチは言う。

「うちはエンブレムに富士山を抱くチーム。みんなで“日本一高い山を登ろう”と。一合目の登山道は険しかったけれど、これから仲間と助け合って登っていきたい」

 

日本ラグビー最高峰への道が平たんではないことは、誰もが知っている。今日がどんな結果であってもチームにとって9月19日は、リーグワンという山の頂点目指して、全員で登り始めた日として記憶されるはずだ。

今日の課題を修正して、次の試合に必ず成長した姿を見せたい。

次戦は10月2日、東芝ブレイブルーパス東京と戦う。