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2022.04.11[MON]
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【マッチレポート】NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第12節

NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 第12節

愛知県・豊田スタジアムでリーグワン最初の試合を戦うはずだった1月9日からちょうど3カ月たった4月9日。静岡ブルーレヴズはリーグワン最初のシーズンの終盤戦となる5連戦の初戦、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)戦を迎えた。

 

この試合、ブルーレヴズは前節からスタメン3人を入れ替えた。イシ・ナイサラニ選手に代わり、NO8にクワッガ・スミス選手がFLから移動。FLには前節LOだった舟橋 諒将選手が移り、桑野 詠真選手が第7節のNECグリーンロケッツ東葛戦以来の先発。バックスでは、WTB 中井 健人選手に代わってマロ・ツイタマ選手が先発にあがった。そして、CTB 13には鹿尾 貫太選手に代わり、小林 広人選手が2020年1月のトップリーグ開幕戦以来2年3カ月ぶりの先発ジャージを着た。小林選手は、4度目の前十字靱帯断裂という過酷なまでの試練から、長い長いリハビリを経て復活。その物語は、逆境から勝ち上がろうとしているブルーレヴズの道のりと何か重なって見える。小林選手の復活が多くの人に夢や希望を与えるに違いない。そしてこの日ヤマハスタジアムを訪れた人々に、さらに成長したレヴズスタイルで勝利を見せようと胸に誓い、ブルーレヴズはひとつになった。

 

14時30分、ヤマハスタジアムの緑の芝の上に、たくさんの大漁旗が登場した。多くの選手が在籍するヤマハ発動機の職場の皆さんが、選手の名前を染め抜いた応援大漁旗を掲げている。強い南風を受けてはためく旗たちで作られた花道を通り、選手たちが入場。地元のサポーター、レヴニスタの皆さんに支えられて活動しているブルーレヴズならではの入場風景に、見ている側も胸が熱くなる。

BR東京のキックオフで試合が始まった。

キックオフをブルーレヴズが蹴り返したラインアウトからBR東京が最初のアタックに出る。だがこのアタックにブルーレヴズは5節ぶり先発のWTB ツイタマ選手が絡んでPKを獲得する。タックル、コンタクトでは一歩も引かないという決意が伝わってきた。気力横溢、絶好のゲームスタートだ。

 

先制したのは6分。左ラインアウトからのアタックでSO サム・グリーン選手が右コーナーへ絶妙のグラバーキック。これは相手FBが懸命に戻ってトライにならなかったが、アドバンテージルールで得たPKから左ゴール前のラインアウトに。HO 日野 剛志選手の投げたボールが、NO8 スミス選手の伸ばした腕の先に吸い込まれる。青いジャージが瞬時に塊と化す。モールが前へ動き出す。相手ディフェンスが青い塊を止めようと集まる――その一瞬のタイミングを見逃さないのがスミス選手だ。一瞬の加速でボールを持ち出し、左隅へボールをたたきつける。TMOでトライが確認され、ブルーレヴズが5点を先制する。

 

さらに9分。自陣22mライン付近で、ブルーレヴズはBR東京の猛攻をタックル、またタックルで止め続ける。ディフェンス――それこそが、堀川 隆延監督が一貫してチームに求め続けていたレヴズスタイルの根幹だ。タックルを決めたら相手よりも早く起き上がって次のタックルに備える。15人の意思統一は乱れない。14フェイズまで止め続けたところでBR東京が落球。すぐさまボールを拾った右ウイングのWTB キーガン・ファリア選手がカウンターアタック。昨季まで所属していたBR東京を相手に約75mを独走し、右中間へ恩返しのトライを決める。10-0。

ディフェンスへの自信とプライド――ブルーレヴズの15人からは、それが色濃く伝わってきた。ディフェンスに自信があるから、自陣で無理にフェイズを重ねず、キックでスマートに敵陣に入れる。逆に相手がアタックでフェイズを重ねても、不安を持たずにディフェンスに専念できるのだ。

 

そして16分、BR東京がブルーレヴズ陣ゴール前まで攻め込むが、レヴズはやはり勤勉なタックルで10フェイズまで止め続けて相手の落球を誘う。そして組んだこの試合最初のスクラム。ブルーレヴズFWの8人は3番の伊藤 平一郎選手に力を集中してコラプシングを獲得。ピンチ脱出に成功する。

  

21分には再び自陣ゴール前に攻め込まれるが、相手の波状攻撃をCTB 小林選手が止め、FL 舟橋選手とWTB ツイタマ選手のダブルタックルでコーナーフラッグぎりぎりで弾き出す。粘りに粘って止め続け、マイボールスクラムのチャンスが来れば相手を押し込み、PKを獲得した。

 

26分、FL 庄司 拓馬選手のジャッカルで得たPKで相手陣に攻め込むと、そこからブルーレヴズは流れるようなアタックを見せる。ラインアウトモールを押し込んでおいて、WTB ファリア選手が豪快に走り込み縦突破。そこからSH 田上選手がボールを出すと、SO グリーン選手が大外へキックパスを送り、糸を引いたようにWTB ツイタマ選手の胸に飛び込むのだ。早くもこの試合3本目のトライをあげたブルーレヴズが17-0とリードを広げる。

 

とはいえ、ラグビーの試合には必ず試練の時間がある。30分、BR東京にこの試合初めてのトライを奪われ、38分にはSH 田上選手がイエローカードとなり、14人対15人の数的劣勢の時間が訪れる。しかも抜けたのは専門職のSHだ。

 

このピンチを救ったのが、2年半ぶりで戦いのピッチに帰ってきた小林選手だ。自陣22m線のラインアウトで相手ボールを奪ったブルーレヴズは、ハーフタイムまでの1分間、FWがボールキープを試みる。そうはさせまいとBR東京FWが襲いかかる。自陣ゴール前、ボールを奪われればトライというピンチに、圧力を受けながらSH役を果たしたのがCTB 小林選手だった。プレッシャーに耐えながら勤勉にパスをさばき続ける。逆境での強さを見せ。ようやく前半終了のホーンが響く。ブルーレヴズはこのピンチを何とか逃げ切った。

 

しかし、後半も数的不利の時間は続いた。しかしブルーレヴズは相手反則からゴール前に攻め込むと、10フェイズにわたって攻撃を継続。CTB 小林選手は素早くポイントに走り寄ってはボールを拾い、丁寧にパスを出し続けた。

 

「派手さはなくとも、ピンチのときに必ずそこにいて、チームをサポートできる潤滑油のようなプレー」――BR東京戦を前に、小林選手が口にした抱負そのままのプレーが連続する。そして4分、相手ボールのラインアウトが乱れたところをNO8 スミス選手が捕り、PR 河田 和大選手がトライ。FB 奥村 翔選手のコンバージョンも決まり、レヴズが24-7と差を広げる。

 

そして次のプレーが、この試合のハイライトだった。BR東京がキックオフを蹴ったのが44分50秒。ブルーレヴズ陣深く蹴り込まれたボールをそこから14人の青ジャージは丁寧につなぎ、11フェイズを重ねたところでFB 奥村選手がディフェンスの隙間を突破し、相手DFをひきつけてキック。相手ゴールライン付近で弾んだボールをWTB ツイタマ選手がつかめばトライだったが、惜しくも落球。BR東京はそこからカウンターアタックに転じてフェイズを重ね、ブルーレヴズのゴールに迫るが、キックを使ったところでボールは再びブルーレヴズに。しかしSO グリーン選手が自陣ゴール前から蹴ったボールはタッチに出ず、BR東京がまたカウンターアタック。だが青ジャージー14人の集中力は途切れない。最後はゴール前10mで、FL 舟橋選手がタックルしたところへ、HO 日野選手とLO 大戸選手が2人がかりでジャッカルし、ノットリリースザボールのPKを獲得したのが49分50秒。まるまる5分間、グラウンドを縦にほぼ2往復半しながら体をぶつけあい、走り続けた極限の攻防をブルーレヴズは1人少ない状態で戦い続け、攻めきれなかったものの守り切った。

堀川監督はここで、シンビンの解けたSH 田上選手に代えてベテラン矢富 勇毅選手を、さらにスクラムを支える右PRも伊藤選手に代え、24歳の若きタイトヘッド(右PR)郭 玟慶選手を投入。60分過ぎからはルースヘッド(左PR)に岡本 慎太郎選手、WTB に中井 健人選手らフレッシュレッグスを次々にピッチに送り込み、ゲームを加速させた。このアグレッシブな采配が、試合のラスト20分間の流れを変えた。

 

相手に1トライを許し、24-14の10点差となっていた60分過ぎ、SH 矢富選手の絶妙キックで攻め込んだブルーレヴズは、66分、相手ゴール前でPKを得るとスクラムを選択し、サイドを突いたNO8 スミス選手がトライ。74分にはハーフウェー手前で相手BKのパスをインターセプトした途中出場のPR 岡本選手がフロントローとは思えないスピードで相手陣深くまで走り込み、NO8 スミス選手がハットトリックとなるトライ。75分には今季新加入、リザーブからブルーレヴズ・デビューを果たした南アフリカ出身BK クリントン・スワート選手が鮮やかな突破からゴール前にキックパス。NO8 スミス選手を走らせたが、これは惜しくもトライにならず。しかし、ブルーレヴズが捕まえた大きな波はもう止まらない。相手のドロップアウトから再びSO グリーン選手、WTB 中井選手がパワフルな走りで駆け上がり、再びボールを持ったCTB スワート選手のキックパスがWTB ファリア選手の腕にすっぽり。今季チーム最多となる7トライ目を決め、FB 奥村選手がコンバージョンを成功する。終了直前、BR東京に意地の1トライを返されたが、最後までディフェンスで前に出続けた。そしてノーサイドの笛。

最終スコアは45-19。サンゴリアスに3点差、ヴェルブリッツに4点差と食い下がってきたBR東京を相手に、今季最多の45得点、26点差というスコアで勝てたことはもちろん嬉しい。だけどもっと嬉しいのは、そんな会心の勝利を、地元ヤマハスタジアムで、たくさんのレヴニスタの皆さんと一緒に喜べたこと。開幕から3カ月という時間を重ねて成長してきた姿を見せることができたことだ。

 

進歩し続けるブルーレヴズ。次節の相手は首位の東京サントリーサンゴリアス。相手にとって不足なし。進歩し続ける青ジャージの底力を、今季初の秩父宮ラグビー場で見せたい。